信じない
ほんとうのことを言えば、まだ乗り越えられてないのかもしれないって
そう思うときもあるんだ、めんどくさいやつでごめんね。
私の親しんだものとは、
まるで違うルールで動く空間に飲み込まれて、
操り人形のようになって、
泣いたらルール違反…なんてことばかり必死で考えてた自分は、
ほんとにおおばかものだ。
あなたが大きな声で、名前を呼んでくれて、
私を助け出してくれて、
やっと思い出せたんだよ。
私が従うべきルールは、
愛情が自然に指し示してくれることに従うっていう、
それだけだったんだって。
あのとき、名前を呼んでくれた声は、
痛いくらい、懸命で、
それは、私が強く強く、求めていたものだから
なおさらそう感じられたのかもしれないけど
手に取って分かるくらいの思いだった。
信じるって、祈るって、苦しいときには大切なことだと思う。
でもね、触れられるくらいはっきり分かっていることに対して、
信じるとは言わない。
信じて祈るのは、不安や疑いや恐れがあるから
強い気持ちで希望を持つためのもので
だから、あなたを信じる、とは言わないよ。
私も信じないで。
手に取って触れられるくらい、確かなものでありたい。